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稼ぎ頭のドコモに変調、どうする巨人NTT [NTT]

東洋経済オンライン 12月14日(日)5時10分配信

 国内最大の通信事業者、NTTグループの成長戦略に誤算が生じている。原因は、グループの稼ぎ頭であるNTTドコモの変調だ。同社は今期、音声収入の減少や端末の割引費用が増大するため、期初の営業利益予想を前期比691億円減の7500億円としていた。

NTTグループの収益構造はこちら

 が、6月に投入した音声定額を含む新料金プランには、強烈な副作用が伴った。10月までに1000万件と想定以上のペースで加入があり、最も低額なデータ通信プランに人気が集中したため、営業利益予想は従来から1200億円もの下方修正を余儀なくされた。近年、8000億円前後の営業利益を稼いでいたが、2015年3月期は6300億円に落ち込む。この急変に、競合他社の幹部から、「プランのシミュレーションがお粗末すぎる」と言われるほどだ。

■ ドコモが緊急対策を発表

 10月の中間決算会見でドコモの加藤薫社長は、緊急対策として下期に500億円のコスト削減を発表。マーケティングやネットワーク関連費用を中心に、2017年度に13年度比で4000億円のコスト削減を行う方針も示した。

 “ドコモショック”で、NTTグループが掲げた「2015年度までに11年度比でEPS(1株当たり純利益)を60%以上成長させる」という、中期計画の達成は頓挫。NTTの鵜浦博夫社長は、「グループ全体でコスト削減を支援しドコモを復活させる。私も共同責任だ」と、積極的に経営に関与する意向だ。

 こうした中、グループの巻き返しの一手と位置づけられるのが、5月に公表したNTT東日本・西日本による光回線の「卸売り」。ドコモはこれを活用し、他社が展開してきた携帯電話と光回線サービスのセット割引で追随する。

 NTT東西は、多くの事業者に卸売りのサービスを提供する方針だが、競合の通信各社は、NTTグループ内でシェアの高い事業者同士が手を組むことに猛反発。電気通信事業法の観点から、総務省の特別部会で卸売りの是非が議論されてきた。

 同部会が10月16日に卸売りを容認する答申案を発表すると、NTT東西はサービスの提供条件を即日開示。ライバル各社の反発が強まる中、ドコモは10月31日にセット割引「ドコモ光」を、来年2月に開始すると公表した。

 もともとNTTは、12月から卸売りサービスを開始する予定だったが、実現は難しい。一因は、総務省での議論が長引いたこと。特別部会の話し合いで、当初予定になかった卸売りも含めたことで、時間を食った。最終的な答申は、今月中に総務相に提出される見通し。ただ、鵜浦社長は「(予定が)1~2カ月遅れるだけ。2月にサービスを提供できるようにする」と、気にする様子はない。

■ 価格交渉で漏れる事業者の不満

 一方、卸価格の取り決めは、一筋縄でいきそうにない。NTT東西は非公表だが、現場の交渉では戸建て向け月額3500円、集合住宅は2500円という条件を提示している。これに対し「価格が高すぎて広がらない」(交渉中の事業者)と不満も漏れる。

 また、ドコモ光では、プロバイダ(ネット接続事業者)から不満の声が上がる。同サービスではドコモの携帯と他社のプロバイダを組み合わせられる。関係者によれば、ドコモはその接続料を500円にするよう、水面下で交渉中。しかし、多くの事業者が約1000円でサービスを提供しており、「(ドコモが示した)条件は非常に厳しい」(プロバイダ幹部)と明かす。

 予定どおりドコモ光を実現したとしても、セット割引による大きなコスト負担をどう吸収するかという課題もある。固定回線は携帯に比べて解約されにくい傾向があり、「最初の面取り合戦で負ければ数年間は負け続ける」(業界幹部)との声も上がる。KDDIやソフトバンクも積極的なキャンペーンで迎え撃つ構えで競争の激化は必至だ。

 ドコモに限らず、NTT東西は、多くの事業者と卸売りサービスで連携し、回線契約数増加を実現することが喫緊の課題。巻き返しの一手で“突破力”を示せるか。年明け以降、NTTグループの正念場は続きそうだ。

(「週刊東洋経済」2014年12月13日号<8日発売>の「核心リポート02」を転載)
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「ドコモに支配力なし」 NTT独占規制、29年目の転機 政府、光利用拡大の思惑 [NTT]

2014/3/20付 情報元 日本経済新聞 朝刊

 NTTグループを縛ってきた独占規制が転機を迎えている。総務省がNTTにだけ認めていなかった携帯電話と自宅で使う固定通信のセット割引の解禁などを検討し始めた。旧電電公社の民営化でNTTが発足してから29年。総務省を動かしたのは何だったのか。

 2月末、富士通、NTTドコモ、NECが共同出資するスマートフォン(スマホ)向け半導体開発会社が近く清算するというニュースが伝わった。資金不足で競争力のある製品を生み出せなかったためだが、ドコモにかかる独占規制が3社連合の足を引っ張ったという見方が出ている。…

関連キーワードNTTドコモ、NTT、アイフォーン、フレッツ光、富士通、スマホ、携帯電話、スマートフォン、ソフトバンク、NTT東西、アップル、NEC、電電公社、KDDI、真相深層

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「NTT R&Dフォーラム2014」今日から開催~NTTグループの研究成果を一堂に [NTT]

Impress Watch 2月13日(木)9時0分配信

 日本電信電話株式会社(NTT)は、2月13日から14日にかけて、研究開発の成果を披露する「NTT R&Dフォーラム2014」を開催する。NTTおよびNTTドコモ、NTTデータ、さらにシリコンバレーのNTT Innovation Institute(NTT I3)の研究成果が展示されるほか、NTT社長の鵜浦博夫の基調講演をはじめとした講演やワークショップも開かれる。

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 今年のテーマとしては「Co-Innovation」というキーワードが設定されている。これは、NTTグループ内はもとより、OTT(Over The Top)と呼ばれるようなコンテンツやサービスの事業者などのパートナーなどとも協力してイノベーションを起こすというテーマだ。たとえば、ドワンゴとの共同研究なども展示されている。

 ここでは、12日に開かれたプレスツアーの模様をレポートする。

■ ブラジルから日本に8K映像を低ロスで配信

 最もスケールの大きい展示が「国際IP網を用いたスーパーハイビジョン8Kロバスト転送技術だろう。日本から見て地球の裏側であるブラジルのサーバーから360Mbpsで配信される8K映像を、国際IP網を経由して受信するというものだ。NHKやNTTグループ各社、各国の国際学術ネットワークとのCo-Innovationとなる。

 このとき、伝送で発生するパケットロスを訂正する技術「LDGM-FEC」により品質を保つというのが技術のキモだ。より長く続く損失を訂正するには、一度に処理するブロックサイズを大きくする必要があるが、それは重い処理となるため一般的にハードウェアで処理する必要がある。そこへLDGM-FECの高効率なアルゴリズムにより、ソフトウェアで処理できるようにしたという。

 また、ブラジルから日本へも2つの経路を利用。独自開発した高速なソフトウェアOpenFlowスイッチを使い、SDN技術によって経路を制御しているという。

 会場では、受信した8K動画を液晶画面で流しているほか、非圧縮のまま再度IP化して建物内で再配信し、8K動画をホールのスクリーンで上映していた。

 大容量動画配信については、NECとの共同開発により2月12日に発表された、4K/60P高精細映像をHEVCでリアルタイム圧縮する装置「VC-8150」についても展示していた。

■ ドワンゴとのコラボで動画を最適配信

 動画関連では、ドワンゴとの共同研究が2件展示されている。いずれも、2月4日に発表された技術だ。

 1つ目は「ライブ映像に入り込めるシステムを作ってみた」。360度全天周カメラで撮影したニコファーレの動画を、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)向けに配信する技術だ。ドワンゴのコンテンツとNTTの通信技術のコラボにより、視聴者が見ている部分の動画を優先的に配信しつつ、向きを変えると優先配信する場所を移動する。これにより、データ量の膨大な360度動画を、限られた帯域で配信できるという。

 2つ目は、「QoE-centricオペレーション」。動画コンテンツ事業者のドワンゴとキャリアのNTTが協調することで、駅のような電波の混雑した場所からのアクセスには低速回線向けの転送レートで、自宅の高速なアクセスには高速回線向けの転送レートで配信するという技術だ。対応したニコニコ動画アプリを使うことで、場所や回線などの情報を同意のもとでサーバーに伝え、サーバーはキャリアに回線品質情報を「品質API」で問い合わせることで回線状況を判断する。今後フィールドトライアルを予定している。

■ 東レと共同開発したセンサー生地

 企業とのコラボとしては、東レと共同開発して1月30日に発表した、機能素材「hitoe」による生体情報計測用ウェアも展示していた。

 hitoeはナノファイバー生地に高導電性樹脂を特殊コーティングした“センサー生地”といえるもの。hitoeを一体化したウェアを着用することで、日常生活のさまざまなシーンにおいて心拍数や心電波形などの生体情報を計測できる。

 展示では、hitoeによるウェアを着て自転車を漕ぎ続けてみせていたほか、説明員もスーツとシャツの下にウェアを着用していた。

■ ユーザーの手を“引っ張って”誘導する「ぶるなび」が進化

 2007年から公開されている「ぶるなび」は、手に持った装置の中で重りを往復運動させ、往路と復路の加速度に差をもたせることで、あたかも一方向に引っぱられるような錯覚を起こさせる装置だ。これにより、ユーザーの手を“引っ張って”道案内することを目的としている。2011年に公開された「ぶるなび2」は、円盤型にして前後左右の2自由度をもたせることで、2次元で方向を示せるようになった。

 今回は2014年の最新作「ぶるなび3」が初公開となった。ぶるなび3は、一気に小型化して指先でつまめるサイズになった。2自由度のタイプも同時開発され、1自由度のタイプよりは大きいが、やはり小型となっている。

 会場では応用例として、タブレットにカメラと「ぶるなび」を取り付け、天井のARマーカーで位置を検出しながら、経路を誘導する様子もデモしていた。美術館や博物館での誘導を想定しているという。

■ ICTカーから音響技術、スマホと雑談する技術、ビッグデータによる渋滞予測まで

 1月28日に発表された、大規模災害時に通信を即時回復させるための「ICTカー」も展示されている。総務省の支援を受けて、NTTと東北大学、富士通、NTTコミュニケーションズで共同開発した。

 ICTカーは、IP電話交換機(IP-PBX)や無線LANアクセスポイント、被災者情報を収集管理するサーバー、5日分の燃料をもった発電機などをバンタイプの車に搭載したもの。災害などで電話が使えなくなった地域で、スマートフォンをWi-Fi接続して専用アプリをインストールし、半径500m程度のエリアでIP電話を使えるようにする。それぞれのスマートフォンはIP-PBXにより“内線電話”となり、ICTカーから電話網に接続できない間はエリア内の被災者どうしで通話でき、ICTカーが電話網につながる場所であれば外部とも通話できるようになる。内線番号には通常の電話番号を使用し、スマートフォンの機種によっては自動的に番号を登録できるという。

 同じく自動車を使ったデモとしては、残響制御技術も展示されていた。音声の残響(エコー)は、音楽では音を豊かにする一方、話し声の聞きとりやすさには悪影響を及ぼす。そこで、直接音と残響音を分離する技術を開発し、話し声には直接音だけを使うことで聞きとりやすくする。また、通常の左右2チャンネルの音声から直接音と残響音を分離し、直接音をフロントスピーカーから、残響音をリアスピーカーから流すことで、コンサートホールのようなサラウンド効果をもたらす。展示では、カーオーディオでサラウンド効果をデモしていた。

 音響関連では、「スマート遠隔ミーティング技術」のデモも見られた。2つの技術からなる。

 1つ目は「スマホ拡張マイク技術」。テレビ会議に1拠点で2人が参加するときに、それぞれが持っているスマートフォンをマイクとしてクリアな音声を実現する技術で、1月29日に発表されている。このとき、そのままでは1人のスマートフォンにもう1人の声が遅延して入り聞きづらくなるため、複数のマイクの音をリアルタイムに分析して本人の声だけを抽出するところが技術のキモだ。

 2つ目は、「LAN2Peerトンネル技術」。テレビ会議中に資料や画面を共有するとき、共有対象のPCと、そこにアクセスする側のテレビ電話アプリがひかり電話上にVPNトンネルを張ることで、一時的に安全に情報を共有できるという。

 スマートフォンと声という分野では、スマートフォンを使ってコンピュータと話す「雑談対話エンジン」も展示されている。「しゃべってコンシェル」のようにコンピュータにタスクを依頼するのとも違い、雑談の会話の相手をしてもらうという技術だ。実際に、「底冷えするね」「どこかに行きたいな」「どこへ行きましょうか」といった会話をする様子をデモしていた。

 技術的には、まず人間がしゃべった言葉を認識したうえで、機械学習の結果により「欲求」「ポジティブな自己開示」などと性質をラベル付けする。このラベルの流れで対話が流れていくというモデルをもとに処理しているという。知識を求める言葉に対しては、「しゃべってコンシェル」と同じエンジンを使って答える。また、「西日本」といった言葉づかいの属性や、返事のポジティブさやネガティブさなども設定できる。

 なお、自動車の中で音声により情報を「ドコモドライブネットインフォ」サービスでは、タスクを依頼するのではない雑談では「雑談対話エンジン」が呼び出されるという。また、「雑談対話エンジン」のAPIも公開されている。

 「渋滞予測・信号制御シミュレーション技術Grapon」は、ビッグデータの分散処理技術を渋滞予測に応用するものだ。NTTデータとの共同開発。

 自動車1台1台のGPSから位置と移動の情報を収集し、その動きをモニタリングして渋滞を見える化し、さらにそれをもとに信号の青と赤の時間を動的に制御することで渋滞を緩和するという想定のシミュレーションだ。現在のところ、国交省の交通量データからGPSデータを模擬的に生成してシミュレーションしている。

 その基礎技術としては、広域にわたる処理をメッシュ状に分割して分散処理する技術が使われている。単に面積で分割するのではなく、交通量の違いによる計算処理の負荷が同じになるようリアルタイムで最適に分割するグラフマイニング技術「Grapon」がキモだ。これによりコンピュータの処理性能を効率よく利用できるため、交通シミュレーションに適用すると、従来手法よりが約3倍の速度になるという。


【INTERNET Watch,高橋 正和】

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総務省、NTT「セット割引」解禁を検討 シェア低下で見直し [NTT]

 2014/2/10 2:00 情報元 日本経済新聞 電子版

総務省はNTTグループに対し、携帯電話と自宅で使う固定通信サービスの「セット割引」を解禁する検討を始める。KDDIやソフトバンクには既に認めているが、巨大企業のNTTにはこれまで市場の独占につながるとして禁止してきた。競争激化でNTTの携帯の国内シェアが4割まで低下したため、見直しの必要があると判断した。1985年の民営化以来、NTTを縛ってきた「独占規制」が転換点を迎える。

 固定通信サービスには固定電話のほか、インターネット回線も含まれる。解禁後、NTTグループもNTT東西の光回線サービス「フレッツ光」などとNTTドコモのスマートフォン(スマホ)のセット割引を導入する公算が大きく、両方を契約する消費者には負担軽減につながりそうだ。

 総務省はNTTへのセット割引の解禁などを検討するため、2月中に情報通信審議会(総務相の諮問機関)の下に有識者検討会を設置。通信各社の意向も踏まえて今年11月をめどに見直し案をまとめ、2015年の通常国会に電気通信事業法の改正案を提出する。法改正後は、これまで禁止されていたNTT東西とドコモによる「一体営業」の一部が認められる。

 競争の激しいスマホ市場で他社からの乗り換えを促す一方、固定通信とともに顧客を囲い込むのがセット割引の狙い。KDDIは自社の光回線や子会社のケーブルテレビに加入する家庭に対し、スマホの通信料を1人・月額1480円下げている。ソフトバンクは家庭向けのネットとスマホの両方に加入するとスマホの料金が安くなる。

 13年の携帯の加入契約増加数でKDDIとソフトバンクがドコモを引き離した。一因がセット割引の有無で、02年度に55%を超えていたドコモのシェアは13年に40.9%に下がった。シェア低下に苦しむNTTグループは総務省にセット割引の解禁を求めていた。

 固定通信と携帯をセットで利用できれば、消費者の利便性も増す。例えば光回線に接続したテレビで見ていた映画の続きを外出先でスマホで楽しむことも容易になる。

 NTTは85年の発足時には国内の固定電話を独占していたが、現在のシェアは7割。光回線の販売も伸び悩む。携帯だけで生活する人が増えたほか、セット割引で攻勢をかけるKDDIなどに押されている。総務省は「市場の支配力は弱まった」と判断している。

 KDDIやソフトバンクはNTTへのセット割引の解禁に反対の立場。かねて固定通信の競争促進のため、NTTが整備した光ファイバー網を他社に開放するよう求めており、セット割引を解禁する代わりに要求の実現を迫る可能性もある。



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NTT、借地権見直し営業外収益600億円 14年3月期 [NTT]

NTTは2月28日、保有する借地権などの評価を見直し、約600億円の交換差益が発生すると発表した。2014年3月期に営業外収益として計上する。本社が入居する「逓信ビル」を含む「大手町2丁目地区再開発事業」において、新たに建設するビルに合わせて借地権を評価し直した。

 都市再生機構が同事業を計画し、2棟の高層棟を核にした大規模なオフィスビルを建設する。15年度に着工し、18年度の完成を目指している。


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NTT、ハイテクの礎40年 アップルがほれた頭脳 産業再興 技術の鉱脈、解き放て [NTT]

 日本経済の先頭は常に力強いリーディング産業が走っていた。今はどうか。電子立国は大きく傾き、世界最強の自動車産業ですら盤石ではない。しかし、足元には技術や知恵の鉱脈が埋もれている。もう眠らせてはいられない。すべてを解き放つときだ。閉塞を打ち破る産業再興への足がかりを探る。



「ダイヤモンドタッチ」で写真地図を使うボーグ氏
■アップルとサムスンの訴訟で注目

 マンハッタン市街の写真地図をそっと指でなぞると、くっきりとした赤い枠線が描かれた。2本の指で枠を広げたり、縮めたりするのも自由自在。2人でも、3人でもタッチ操作で同時に使える。それも、大画面の薄型テレビのように見えるテーブルの上で――。

 指で動かす感覚は米アップルの「iPhone(アイフォーン)」そっくり。ただし、アップルが極秘で開発中とされる次世代テレビ「iTV」ではない。

 三菱電機の米国研究所、MERLが2000年代初めにつくったテーブル型コンピューター「ダイヤモンドタッチ」。スマートフォン(スマホ)の影も形もない時代に生まれた。それから10年後の12年夏。この技術が突然注目を集めたのは、特許裁判で韓国サムスン電子がアップルが主張する特許の先行例として法廷に持ち出したからだ。

 MERL出身で、ダイヤモンドタッチのベンチャー企業を率いるアダム・ボーグ氏は開発直後、カリフォルニア州のアップル本社に招かれて実演したことがある。「こうした技術を携帯端末に使うなんて僕も会社も考えていなかった。もちろん、NTTやNTTドコモと一緒に技術を使う発想もなかった」



 大型コンピューターから半導体、光ファイバーまで。日本のハイテクの流れを遡ると、多くがNTTグループにたどり着く。電電公社時代からNECなど「電電ファミリー」を鍛え、携帯電話時代も「ドコモファミリー」とともにハイテク産業の裾野を広げてきた。

■誰もが見逃した

 三菱はドコモ向けの携帯電話などをつくっていたが、ボーグ氏は結局、08年に独立。うまく育てられれば、今ごろ反攻のタネの一つになっていたかもしれない。

 誰もが見逃した。

 戦前から技術のゆりかごだった逓信省の研究所の流れをくむNTTの武蔵野研究開発センタ(東京都武蔵野市)。敷地内の技術史料館を歩くと、交換機など過去の技術に目を見張るが、21世紀以降の展示は目立たない。

 ハイテク分野の実力を示す物理学の論文総被引用数(過去10年)でNTTは世界2位。研究者なら誰もがあこがれた米ベル研究所を抜き、前を走るのは米IBMだけ。それなのにインターネット時代にはNTT発でハイテクの世界ががらりと変わるような話は聞こえない。主役は米グーグルなどシリコンバレー企業。ハードなら韓国勢だ。

 NTTが今春、海外に初めてつくる研究開発拠点は米国西海岸。鵜浦博夫社長は「クラウドは先進市場の北米で開発して世界展開する。この数年はクラウドで負けられないから」という。ならば、NTTがこれまで伸ばしてきた技術の樹形図は絶えたのだろうか。

■研究開発怠らず

 「技術を開放してほしい」。2年ほど前、iPhone販売を巡るアップルとドコモの交渉の焦点の一つは、そんなアップル側の要求だったという。21世紀のハイテクの巨人は「次」に備えて知的財産の獲得に余念がなく、NTTが生み出す技術に目をつけた。

 富士通などの研究所が集まり、日本の半導体技術のふ化器とも呼ばれた神奈川県厚木市郊外。NTT厚木研究開発センタを訪ねると、クリーンルームで半導体そのものではなく、ハイテク繊維素材が研究されていた。

 ブルーブラックのシルクの糸には導電性高分子をしみこませてある。その糸を使った素材は生体電極として体からの信号を伝える。塚田信吾リサーチスペシャリストが解説する。「この繊維が電極代わり。心電図だってとれますよ」。心電図が異常なく映るスマホの画面を見せてくれた。

 用途は医療やスポーツなど幅広く、「クシやヘアピンの形にすれば、脳波も伝えられる」(塚田氏)究極のインターフェースへの道も開ける。安全性が確認できれば、繊維メーカーなどと組み、実用化をしかける。

 NTTの鵜浦社長は「国内の研究開発を怠るつもりはない」と言い切る。グループの研究開発費は年間3千億円近く、人員は6千人。ノーベル賞級の研究者も少なくないが、規模や歴史が理由ではない。そこに宝の山が眠っているからだ。

象牙の塔にこもらない

■NTT、「死の谷」直視 再起へ一歩

 「量子コンピューター」など中長期的な研究で知られるNTTの物性科学基礎研究所が入る厚木研究開発センタは、日本の半導体が世界を席巻した1983年に生まれた。それから30年。軸足は大規模集積回路(LSI)製造の専門研究から高機能材料に移ったかのよう。しかし、すべてが成功するとは限らない。



 技術をビジネスに育てられず、研究所内に埋もれさせてしまう「デスバレー(死の谷)」。NTTの研究企画部門を率いる篠原弘道常務は「昔は技術をうまく完成できるかというリスクだけだった。しかし、今は世の中に受け入れられるか、勝負に勝てるか、というリスクもある」と話す。

 シールのように貼り付けられる発光ダイオード(LED)、自動車のボディーに貼って発電できる太陽電池――。それらを実現する薄膜技術は物性研で開発したばかり。「米国のLEDベンチャーや基板メーカー、商社などから商用化に向けて関心が寄せられている」(牧本俊樹物性研所長)という。

 「昔なら論文を書いておしまいだったかもしれない。しかし、今は通信分野だけでなく、いろいろと用途を探る。何でも自前ではない。パートナーと組むことをもっと考えていく」(篠原常務)。死の谷を跳び越えるために必要なことは分かっている。

 「NTT」という象牙の塔に閉じこもり、日々変わる現実を直視しないなら、過ちを繰り返す。そんな失敗は過去に何度も体験してきた。最大の誤算はネットの爆発。80年代半ばから研究所内で使っていたが、商用化に遅れた。全国津々浦々に置いていった交換機という電話時代のハード、その研究開発に基づく技術は膨大。あるNTTのOBは「まだ生かせるはずだ、という甘い判断だった」と振り返る。

 通信インフラの近未来を見れば、ネット時代になっても続くハードの束縛からの解放が起きる。鍵はグーグルや米マイクロソフト、米フェイスブックなども関心を示す「オープンフロー」、「SDN(ソフトウエア・デファインド・ネットワーク)」と呼ばれる技術が握っている。

 今のインターネット網は固定、携帯を問わず、専用のスイッチやルーター、サーバーなどで制御するが、そのすべてをソフトウエアで柔軟に動かす。データの流れを簡単に変えられるため、無駄なハードはいらない。急なサービス変更も簡単だ。災害が起きたときにはネット動画で使っていた通信インフラを緊急連絡用へすぐ割り当てられる。

 ネット時代は米シスコシステムズなどシリコンバレー企業が通信機器のスタンダードを事実上独占してきた。しかし、NTTの未来ねっと研究所の島野勝弘主幹研究員は「オープンフローなどの新しい技術が普及すると、今までの勝ち組、負け組の構図が変わるきっかけになる」と予言する。NTTはNECなどと開発を急いでいる。技術変革の大波を見過ごすことはもう許されない。

 NTT武蔵野研究開発センタには、前身の電気通信研究所の初代所長、吉田五郎氏の言葉がきざまれた石碑が今も残る。「知の泉を汲んで研究し実用化により世に恵を具体的に提供しよう」

 NTTは再び実践していけるのだろうか。

 ハイテクの世界競争は、スマホ一つとっても、ソフトからハード、サービスまで総力戦に入った。日本はすべてをつくれる数少ない国だ。その厚みを使わない手はない。NTTが潜在力を解き放てれば、再起への一歩を日本も踏み出せる。

(武類雅典、ニューヨーク=小川義也)

[日経産業新聞2012年1月1日付]
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